便秘は国民病
高齢者にも若い方にも多い便秘。
病院に通院している60代以上の方では、何らかの便秘薬を処方されている方は実に通院者全体の8割を超えています。
現代社会において、便秘はまさに国民病とも言える状態なのです。
便秘が厄介なのは「薬を飲んで便を出しても、治らない」という事です。
現在病院や薬局で購入できる下剤は大きく2つに分類されます。
大腸や小腸を刺激して腸管の蠕動運動を活性化して便通を促す「刺激性下剤」。
便そのものに水分を蓄えられるようにして、便が腸内で滞らないようにして排便を促す「機械性下剤」です。
前者は効果が早く、強力に効きます。
反面、腹痛やひどい下痢が起きてしまうことがあります。
後者は効果が穏やかで、薬局などでも購入できるものが多く一般的に利用されますが、便秘の状態によっては効果がない事も増えてきます。
昔は下剤の副作用といえば刺激性下剤のイレウス(腸捻転)を言われる程度でしたが、最近は機械性下剤である酸化マなどでも「高マグネシウム血症」が報告され、死亡者もでています。
いずれの便秘薬も、利用される上で自己流や過剰服用は避けた方が良いものです。
なぜ便秘薬で便秘が治らないのか
刺激性下剤も機械性下剤も、利用すれば便は出ます。
処方する側はとにかく排便を促したい一心でこれらの下剤を処方するわけなので、便通があればその目的には合致するわけですが、問題は「それで便秘が治らない」という一点です。
ではなぜ便秘が治らないのか。
至極単純で「便秘の原因を改善できていないから」です。
下剤を利用するのが間違っているわけではありません。
人によってはその原因は改善するのに時間がかかるかもしれません。
その期間ずっと便を溜め込んでおくわけにも行きません。
下剤を使って上手に排便を得つつ、同時に便秘の原因を改善していけば、これから先のどこかでまた、自然に気持ちの良いお通じを得られる日は必ず来ます。
しかし、出す事ばかりに注力してしまい原因を改善していなければますます便秘はひどくなって行きます。
下剤の量も増やさなくてはならなくなります。
便秘は放っておいても治りません。
下剤を乱用しても治りません。
これは便秘の解消には結びつかないのです。
便秘の本当の原因
便秘は、年齢が上がるにつれて悩む方が増えてきます。
女性の場合は15~16歳以降増えてくる傾向がありますが、男性で便秘を訴える方が増えてくるのは60代以降です。
最近、便秘の高齢者の腸内には善玉菌がほとんどいない事がわかってきました。
逆に悪玉菌と、悪玉菌を助ける日和見菌が多く、悪玉菌側に偏った腸内では腸内にガスが多く発生し、メタンなどのガスは腸の動きを鈍化させ、便を停滞、水分を枯渇させます。
これが高齢者の便秘を引き起こす原因です。
さらに加齢による胃腸の機能と筋力の衰え、食べ物の消化力も低下、腸内にものが長く留まるようにもなります。
悪玉菌と、消化しきっていないものの長期間の腸内停滞。
高齢者の便秘はこの2つを解消することが大事です。
女性の便秘は、20代~40代くらいの方の場合、また原因が異なります。
結論から言えば腸内粘液の不足です。
もっと漢方的に言えばこの粘液の原料になっている『陰』や『血』が不足する事で腸内が乾燥し、
食事量の不足から体温が低下し(陽気減衰)、
ストレスや無理なダイエット、自律神経の不調から、生理前後には過食や便秘・下痢などを繰り返し、腸の機能が失調し
便秘を起こしています。
女性の便秘では、まず消耗している陰血の回復、規則正しい生活習慣と体内時計のリズムを整えることが大事になってきます。
山崎薬局にも便秘薬を探す方が多くご来局になります。
様々試して頂き便通に波はありますが、結論として便秘薬だけでは便秘は改善しません。
逆に便秘薬だけで対応しているうちに便秘の原因は重症化し、もっと強い便秘薬を、更に強い下剤を、量も更に増やさないと、と際限なく悪化します。
その方の便秘の原因を改善できる処方が組めれば1週間ほどの服用で便通に変化を感じ、
2~3ヶ月後には1~2日おきに自発的でスッキリとしたバナナ状の便通を得られるようになります。
食べる事と、出す事は健康の第一歩です。
頑固な便秘で、お腹を触ると冷たいという方はぜひ一度ご相談下さい。
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