ストレスの管理は“肝”から行う
“ストレス”といわれると、多くの方は人間関係、仕事や家庭の環境、受験や就職・転職活動など、つらい苦しい状況にある自分をイメージします。
そしてそういう状況におかれた時に、あるいはおかれた直後などに出てくる体調不良をストレス症状として認識します。
確かにネガティブなイメージが大半を占めることは確かだと思いますが、店頭で相談に携わっているとストレスと言うものはどうやらそれだけではないと感じる事が多々あります。
たとえば久しぶりの休みの日、友達ととても楽しく出かけた日の夜は興奮して眠れなくなる方がいらっしゃいます。
あるいは宝くじが大当たりした後や恋愛が成就した後で「うれしすぎてお腹が一杯」になったり、「興奮して眠れない」など自律神経を乱してしまう方の話もよく聞きます。
つらい、苦しいことに限らず、楽しい事やうれしい事も含めてその方の精神に抱えきれない、受け止めきれない負担が生じてしまう。
その結果、胃腸症状を中心とした体調トラブルにつながってしまう事がストレス疾患ではないかと思います。
では中医学的に以上の事をどのように捉えているかというと、“肝”という臓の機能に集約されてきます。
肝は蔵血(ぞうけつ:血液を貯めておく働き)と疏泄(そせつ:体の気のめぐりを調節する。体のリズムを取る働き)の二つを司ります。
長期間に渡り一定以上のストレスを受け続けたり、瞬間的に酷いストレスにさらされると、“肝”は貯めてある血を消耗しながら他の臓腑にダメージが行かないようストレスのクッションとして機能します。
しかしあまりに血を消耗し、不足が生じてくると“肝”は血の補充を求めます。
脾胃にはより多い食事(血の材料)を、心にはより多くの血流を、といった具合です。
これはストレスを受けるとやけ食いする、動悸が起きるといった形で表現されてきます。
しかし“脾胃”は“肝”に比べると耐久力がなく、あまり頻繁に肝に活動を求められていると持たなくなってきます。
だんだん食欲が減退し、ストレスを受けた際に膨満感や下痢を起こすようになり、ついには痛みを訴えるようになります。
以上のことがストレスを受けたときに膨満感や胃の痛み、下痢を起こす方の中医学的な考え方、流れになります。
病院の治療ではこの胃腸の症状に対し、ガスターなどの胃酸分泌抑制剤や粘膜保護剤を利用します。
一時的な症状で自然に回復するのであればそれでも良いのかもしれません。
しかし何度も症状を繰り返したり、半年以上の長期に渡り症状に悩まれたりしている場合は違ってきます。
根本的に“肝”のトラブルを改善しなくては胃腸機能の回復はできません。
胃腸へのアプローチという点では制酸剤や胃酸分泌調整を行いながらでも良いので、漢方による“肝”のコントロール、疏泄の調整を一緒に行うともっと効果的に症状の改善ができる事でしょう。
ストレスからの胃腸症状にお悩みならお近くの漢方薬局にご相談の上、一度お試しになってみて下さい。
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