こんにちは。千葉県柏市で妊活を中心に漢方相談しております、漢方専門山崎薬局の山崎です。
前回は朝昼晩三食の目的について記載させて頂きました。
一方で、何を食べたら妊娠しやすくなるか、どんなものを食べてはいけないか、という事も気になると思います。
まず結論ですが、”これを食べると妊娠する!”という食材はありません。
ネットで調べていると妊活される方にはザクロがいいとか、サジーがいいとか、ルイボスティが効果的とか、他にも沢山のおすすめが出てきます。
サジーの抽出成分を使った健康食品は当店でも妊活相談で利用するので、確かにその方の体質・生理周期に合わせて用いる事ができれば効果的なものもあるのだと思います。
では運良く体質にあったものが見つかったとして、それを三食、毎日取ればよいのかというとそれも違います。
朝昼晩の三食は、前回も記載しましたが目的に合わせてバランスよく食べて頂くことが大事です。
バランスを考えずに良いと思ったものを集中的に取ってしまうと今度は別の過不足に繋がりホルモンバランスや自律神経のバランスを崩すことにつながってしまいます。
では何が「おすすめ」なのか。
実は、店頭で対応する妊活相談のお客様は、ほとんどが中医学で言うところの”血虚体質”または”気血両虚体質”です。
血虚は、体を健康な状態に維持する為の、十分な血液の量が不足している状態。
気虚は、エネルギー不足状態。単なる疲労ではなく内蔵や血流、体の巡りを潤滑にするための原動力が不足している状態です。
血虚の方の特徴は
○ 爪が柔らかく割れやすい
◯ 爪にガタガタと筋が入りやすい
◯ 髪が乾燥してぱさつきやすい
◯ 肌や唇・目の粘膜が乾燥しやすい
◯ 目は疲れやすく、特に夕方以降顕著に出てくる
◯ 四肢末端が冷えやすい
◯ 生理の量が少ない、あるいは生理期間が短い
などの症状があります。
血虚の原因は
月経過多
短い期間で生理が来てしまうなど、血液の消費量が著しく多い
運動やストレス、疲労など、体の1日総エネルギー消費量に対し、食事や睡眠が不足している
元々胃腸が弱く、食事を少量ずつしか食べられない
など。
気虚の方の特徴は
◯ ちょっとした活動ですぐ疲れる
◯ 活動を開始する、または継続する気力が弱い
◯ 食欲がない、または少量ですぐ満腹になる
◯ 食後に眠くなる
◯ 汗をかきやすく、汗をかくと寒くなる
◯ 胃下垂や内臓下垂も気虚の一つのタイプ
気虚の原因は
元々の胃腸虚弱 あるいは無理なダイエットによる胃腸機能の低下
継続する過労状態から極端な消耗状態にある
汗のかきすぎ・大量の出血・長期の下痢などにより消耗状態になる
など。
もし上記の症状に当てはまるものが複数あるようでしたら、あなたは血虚あるいは気虚の体質です。
この体質を改善出来る食生活を意識して頂くと、卵巣や子宮の状態の改善、ホルモンバランスの安定に直結してきます。
血虚の方に一番必要な食事はタンパク質と脂質です。
いわゆる動物性タンパク質=肉を意識して下さい。
肉と言っても高級な牛肉やレバーなどではなく、豚肉や鶏肉がオススメです。
前回も話しましたが、朝は温かい汁物の次にタンパク質は重要です。
朝、タンパク質を適度に食べていると腹持ちが良く、日中の間食を減らすこともできるという研究結果があります。
そして何より夕食にもタンパク質と脂質、それに炭水化物(主食)を適度に入れて下さい。
タンパク質や脂質はアミノ酸として体に利用され、血肉、エネルギー、ホルモンの材料になります。
炭水化物は、アミノ酸という体の材料が入ってきたときに、材料を製品化していく工場を動かすエネルギーになります。
夕食を適度にバランス良く食べる習慣。
夜はできれば22時、遅くとも23時には就寝する生活リズム。
睡眠はリラックスして質の良い眠りを得る事。
この辺ができると血液が充足され、血虚体質の改善。
ひいては卵巣の機能回復やホルモンバランス、体のリズムの安定に繋がります。
時々、たんぱく質の摂取に「プロテイン」を利用している方がいらっしゃるのですが、私個人としてはこれは推奨しておりません。
体調の回復に一定の効果があることは認識しておりますが、胃腸に負荷がかかることや、最終的にプロテインで「血虚」の改善に至れない方が多いためです。
気虚の方は、基本は胃腸に優しい温かい食事、そしてネバネバしている食材がオススメです。
山芋や納豆、おくらなど。
またきのこの類や雑穀もおすすめです。
汗や体水分の消耗から気虚を生じている方は、酸味を意識して下さい。
酸味は「収斂」という力があり、取り込んだ水分やエネルギーを体から漏らさないようにする効果があります。
肉料理にレモンを掛けたり、酢の物を少し足してもらったりするのが良いでしょう。
漢方薬でも、気虚であれば胃腸機能の改善や補気薬、血虚であればストレスや気の巡りの調整、補血作用のある漢方薬のご提供を行いますが、普段の食事で意識していただければより高い効果が期待できます。
三食をちゃんと食べる習慣 + ご自身の体質に合わせた回復のための食材選択
この原則をぜひ妊活に組み込んでみて下さい。
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